50代の私の文章は「丁寧すぎて」読まれなかった
「会社で30年間、報告書や企画書なら何百枚と書いてきた。文章を書くことなら誰にも負けない」
Webライターの勉強を始めた当初、私はそんな根拠のない自負を持っていました。
しかし、意気揚々とテスト記事を書き上げた私を待っていたのは、見事にへし折られたプライドでした。
私としては、読者に失礼のないよう「丁寧に背景や経緯から順番に説明する」という会社員として完璧な文章を書いたつもりでした。
しかし、返ってきた評価は「もっと結論から簡潔に書いてください。最後まで読まれません」という冷酷なフィードバック。
決して、私の(そして皆さんの)文章力が低いわけではありません。
ただ、単純に「ビジネス文書」と「Web記事」では、読者の読み方が根本的に違っていたのです。
会社での書類は、上司や取引先が「業務として読む義務」を持って目を通します。
しかし、Webの読者は違います。
彼らはスマホを片手に、通勤中や家事の合間など、わずかなスキマ時間で「自分の悩みの答え」だけを血眼になって探しています。
「平素よりお世話になっております。本日は〜」といった丁寧な背景説明が始まった瞬間、「この記事には答えがない」と判断し、容赦なく画面を閉じてしまうのです。
今回は、ガチガチの「会社員構文」しか書けなかった50代の私が、Webライティングの最強の型である「PREP法」を学び、いかに自分の文章がWebに向いていなかったかを痛感した生々しい記録です。
50代の強みである「論理的思考」は、Webのルールに合わせて少しだけリフォームするだけで、圧倒的な武器になります。
私と同じように「真面目に書いているのに読まれない」と悩む方の参考になれば嬉しいです。
結論から書くなんて失礼ではない!私を救った最強の型「PREP法」
ボツになった記事を前に途方に暮れていた私が、Webライティングの基礎として初めて学んだのが「PREP(プレップ)法」という文章の型(テンプレート)でした。
論理的な文章を書き慣れている50代の方なら、この構造を一度インストールしてしまえば、これほどスラスラと書ける魔法の型はありません。
百聞は一見に如かず。実際に私が最初に書いてボツになった「ビジネス文書(ビフォー)」と、PREP法で書き直した「Web記事(アフター)」を見比べてみてください。
【恥ずべきビフォー】会社員時代のクセが抜けない私の文章
(ダメな例) いつも記事をご覧いただきありがとうございます。今回は「朝活のメリット」についてお話ししたいと思います。 近年、働き方改革が進み、私たちの生活リズムも変化しています。そんな中で朝の時間を有効活用する人が増えているのをご存知でしょうか。 朝は脳がリフレッシュされており、静かな環境で作業ができるため……(以下略)
いかがでしょうか。会社の上司に提出する報告書や、朝礼のスピーチならこれで100点かもしれません。
しかし、スマホでサクッと答えを知りたいWebの読者は、「前置きが長すぎる。結局、朝活の何がいいの?」とイライラして、途中で読むのをやめてしまいます。
【劇的アフター】PREP法で書き直したWebのための文章
これを、Webの世界で最も愛されている「PREP法」の順番(結論→理由→具体例→結論)で書き直してみます。
■ P(Point:結論) 朝活の最大のメリットは、「誰にも邪魔されず、1日の最も集中できる時間を確保できること」です。
■ R(Reason:理由) なぜなら、朝起きてからの数時間は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれ、疲労がリセットされた最もクリアな状態だからです。
■ E(Example:具体例・体験談) 実際に私も、夜のクタクタな状態で2時間かけてやっていた作業を早朝に切り替えたところ、わずか45分で終わるようになりました。急なメールや家族からの用事が入らないのも大きいです。
■ P(Point:結論・まとめ) だからこそ、忙しい50代の会社員にこそ、生産性が劇的に上がる朝活を強くおすすめします。
これがPREP法です。前置きの挨拶などは一切なく、いきなり「結論」から叩きつけているのがお分かりいただけると思います。
なぜ50代は「P(結論)」でつまづくのか?
長年、日本のビジネス文化で「起承転結」や「背景→経緯→結論」という順序で空気を読みながら書いてきた50代の私たち。
いきなり結論から書くのは、「なんだか唐突で、読者に不作法(失礼)ではないか?」と感じてしまいます。私も最初はそうでした。
しかし、Webの世界ではルールが逆です。
「結論を焦らして後回しにすることこそが、読者の時間を奪う最大の不親切」なのです。
「大丈夫です、この記事にはあなたが探している答えが最初に書いてありますよ」と一番に安心させてあげること。
これが、Webライターとしての新しい「おもてなし」の形だと気づきました。
実は50代の独壇場!「E(具体例)」で若手を圧倒できる
PREP法のルールを理解したとき、もう一つ気づいたことがあります。
それは、「E(具体例・体験談)」の部分こそ、私たち50代の最強の武器になるということです。
若いライターが苦労するのはこの「E」の部分です。
彼らはまだ実社会での経験が浅いため、どうしてもネットで調べた浅い知識を並べることしかできません。
しかし、私たちには30年分の「現場でのリアルな泥臭い失敗談」や「人間関係のトラブル」の経験があります。
「以前、私がプロジェクトマネージャーをしていた際、こんなトラブルがありました……」
これほど強烈で、説得力のある「E(具体例)」はありません。
PREP法という「型」さえ手に入れれば、あなたのこれまでの経験は、Webの世界でそのまま高単価な価値へと生まれ変わります。
【実践編】「平素よりお世話に〜」は即離脱!読者の心を3秒で掴む導入文の作り方
PREP法で「結論から書く」ことの重要性は理解しました。では、記事の一番最初(冒頭)はどう書き出せばいいのでしょうか?
ここでも私は、会社で染み付いた長年のクセを発揮してしまいました。
「近年、働き方改革が推進される中、皆様におかれましては……」といった、時候の挨拶や時事ネタから長々と入ってしまったのです。
ここで「Webライティングの鉄則」です。
「Web記事において、最初の100〜200文字(リード文)で『この記事は自分には関係ないな』と判断されたら、その下にある本文がどんなに名文でも、絶対に1文字も読まれない」です。
「この先を読めば、あなたの悩みが解決しますよ」と、最初の3秒で読者の心を鷲掴み(ホールド)にする。
そのために私が叩き込まれたのが、以下の「導入文の3ステップ」でした。
1. 共感(悩みの代弁):「あなた、〇〇で困ってますよね?」
まずは挨拶の代わりに、読者が抱えている悩みをズバリと言い当てます。
- 「50代になって副業を始めたいけれど、何から手をつけていいか分からず不安ですよね」
実は、ここが私たち50代の最も得意とする分野です。
30年間、上司や部下、取引先の顔色を伺い、「相手が今、何に困っているか」を察してきた50代の圧倒的な「共感力」と「想像力」があれば、ここは若手ライターよりも遥かに深く、刺さる言葉を書くことができますよね。
2. 提示(解決策の明示):「この記事に、その答えがあります」
共感して読者の足を止めたら、すぐに結論(PREP法のP)を渡します。
- 「この記事では、未経験の50代が最初の1円を稼ぐための具体的な3つのステップを解説します」
「背景はいいから早く答えを教えて!」と焦っている読者に、「探している答えは、ちゃんとここにありますよ」と宣言し、安心してもらいます。
3. 便益(ベネフィット):「読むと、こんな良い未来が待っています」
最後に、この記事を読むことで読者の人生がどう良くなるか(明るい未来)を見せます。
- 「この記事を読み終える頃には、何から始めるべきかが明確になり、迷わず今日からクラウドワークスへの登録作業に進めるようになります!」
読者は「記事」が読みたいのではなく、「自分の悩みが解決した後の素晴らしい未来」が欲しいのです。
「共感」で引き止め、「提示」で安心させ、「便益」で背中を押す。
この3つのステップをパズルのように当てはめるようになってから、私の書いた記事は、読者(やクライアント)に「まさに私が知りたかったことが書いてある!」と最後まで読んでもらえるようになりました。
「はじめに」「背景」は読まれない?Googleと読者に好かれる「見出し」のルール
PREP法と導入文の作り方を知り、「これで完璧だ!」と意気込んで記事を書き始めた私ですが、またしても会社員としての手痛いトラップ(罠)に引っかかりました。
企画書やマニュアルを書く時、私たちは見出し(目次)を「1. はじめに」「2. 背景と課題」「3. 解決策」「4. まとめ」と付けますよね。
綺麗に整理整頓されていて、会社ではこれが正解です。
しかし、Webの世界でこの「抽象的な見出し」を使うと、誰も読んでくれません。
なぜなら、スマホで記事を読む読者は、最初に記事の最初から最後までを高速で「スクロール」し、見出しだけを拾い読みして「この記事を読む価値があるか」を瞬時に判断しているからです。
忙しい読者がスクロールしている最中に「2. 背景と課題」という見出しを見ても、全く心が躍りませんよね。
私が学んだWebの「見出し(H2・H3)」の設計ルールは、全く次元の違うものでした。
ルール1:見出しだけを読んで「内容がわかる」ようにする
「はじめに」といった単なる区切りの言葉を捨て、見出しそのものを「メッセージ」にします。
- ✖ 「2. 失敗例について」
- 〇 「50代初心者がやってしまう、Webライター3つのNG行動」
このように、見出しを見ただけで「あ、これは自分の悩みにドンピシャだ!」と思わせるように具体的に書く(答えのニオイをさせる)のが、プロのライターの技でした。
ルール2:キーワードは「左側」に置く(Googleへの挨拶)
「読者」だけでなく、検索エンジン(Google)にも好かれるための鉄則がありました。
それが、「検索させたいキーワードを、見出しの左側に寄せて書く」というハックです。
例えば「Webライター」「初心者」で検索されたいなら、「初心者の50代が知るべきWebライターの基本」とするより、「Webライター初心者の50代が知るべき基本」と、左側にキーワードを持ってきた方が、GoogleのAIがより早く「この記事はWebライター初心者のためのものだ」と認識してくれる、というSEOの基本ルールです。
これには本当に驚きました。
私が何度も読み返したバイブル「沈黙のWebライティング」
「文章の書き方ではなく、Webのルールというものが存在するんだ……」
この事実に衝撃を受けた私が、少ないお小遣いをはたいて購入し、何度も読み返したのが、『沈黙のWebライティング』という有名な書籍です。
「売れる文章」「読まれる文章」の奥深さが、漫画形式(ストーリー仕立て)で非常に分かりやすく解説されていて、50代の私の固い頭をほぐしてくれました。
Webライティングの「壁」にぶつかっている方は、ぜひ一度手に取ってみてください。(自己投資なので、独立後の経費にもできますよ!)
クライアントから真っ赤に添削された!私がやらかした「3つのNG」
PREP法もわかり、見出しも作れるようになった。
これで完璧だ!と意気揚々と初めての原稿をクライアント(案件発注者)に提出したところ、戻ってきた原稿はダメ出し(赤字)で真っ赤でした。
長年の「ビジネス文書」の癖は、そう簡単には抜けきっていなかったのです。
そこで、私が実際に指摘されて赤面した、50代の元会社員なら絶対にやってしまう「3つのNG(足かせ)」を恥を忍んで公開します。
NG①:丁寧すぎて一文が長すぎる(「。」が全然ない)
会社で上司にメールを打つ時、私は「〇〇の件につきましては順調に進行中であり、現在は〜の状況ですので、明日には〜となりますが、引き続き……」と、延々と文章を繋げてしまう癖がありました。
これをそのままWeb記事でやると、スマホの画面は文字の真っ黒な塊になり、読者は一瞬で窒息(離脱)します。
「一文が3行以上にわたるのはWebでは絶対にNGです。もっと『。』で区切ってください」と指摘されました。
【私が学んだ対策】 一文は長くても60文字以内をルールにしました。自分としては「ぶっきらぼう(冷たい)かな?」と思うくらいでバッサバッサと文章を切っていくと、Webではちょうど良いテンポでスラスラ読めるようになります。
NG②:無意識に「カタカナ・社内用語」を使っている
自分では普段通りの言葉遣いだったのですが、「スキーム」「アサイン」「ペンディング」「デフォルト」……といった言葉を連発してしまい、「一般の読者(中学生)には伝わりません」と突っ込まれました。
会社という狭いムラ社会で30年も生きていると、「世間一般の人が知らないような専門用語を、自分は当たり前のように使っている」という事実に気づけなくなっていたのです。
【私が学んだ対策】 自分が書いた文章を、「中学生の親戚に読ませても通じるか?」という視点で見直すようにしました。簡単なことを難しく専門的に書くのは誰にでもできますが、「どんなに難しい内容でも、誰にでもわかる言葉に噛み砕いて書く」ことこそが、プロのWebライターの真骨頂なのだと思い知らされました。
NG③:謙遜して「〜だと思います」を連発する
これは50代特有の病気かもしれません。
会社員生活で「断言して責任を取らされること」を避けてきた結果、私の文章の語尾は「〜だと思います」「〜かもしれません」「〜ではないでしょうか」のオンパレードでした。
しかし、クライアントからの指摘は鋭いものでした。「読者は『個人の推測』ではなく『プロの断言』を探しています。自信がないなら書かないでください」
【私が学んだ対策】 根拠がある事実については勇気を出して「〜です」「〜と言えます」と言い切るクセをつけました。謙虚さは会社では美徳ですが、Web上の文章においては「単なる自信のなさ」に変換されてしまうのです。
まとめ:型(カタ)を習得すれば、あなたの経験は「価値」に変わる
Webライティングの「型」を学ぶことは、あなたの個性を消すことではありません。むしろ、あなたの貴重な経験を、より多くの人に届けるための「拡声器」を手に入れることです。
「構成案」を先に作る習慣がつければ、執筆中に迷子になることもなくなり、作業時間はこれまでの半分になります。
型(PREP法)を覚え、一文を短くし、結論から述べる。
このシンプルなルールを意識するだけで、あなたの文章は「元会社員の趣味」から「プロのWebコンテンツ」へと昇華します。
さあ、次の記事では、まず見出しから作ってみませんか? その「型」の中にあなたの30年を流し込めば、きっと素晴らしい記事が完成するはずです。